もりや耳鼻咽喉科

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におい

匂い、つまり嗅覚という感覚は、見る「視覚」、聴く「聴覚」などと異なり、気にしているようで、実は毎日常に意識している人はあまりいないようです。 自分の嗅覚の変化は意外と気づきにくいものです。食事のとき(たとえばカレーなどは香りを感じやすい料理ですね)やお花や香水、メンソール(ミント)など機会があればちょっと意識して香り、匂いを確かめてみてください。周りの人と同じようにちゃんと匂っていますか? 香り、しっかりとわかりますか?

・原因には何があるのでしょう

1.最も多い原因は鼻の病気です。副鼻腔炎(蓄膿症)、アレルギー性鼻炎、肥厚性鼻炎(鼻の粘膜が慢性的に腫れてしまう状態)などです。

 人が匂うメカニズムを勉強しましょう。鼻から匂いが入ると、匂い物質は鼻腔最上部の嗅上皮と呼ばれる特別な粘膜に溶け込みます。すると嗅上皮にある嗅細胞が反応して電気信号を発生し、その電気信号が嗅神経→嗅球→脳へ伝わり「匂い」を感じます。 このように匂いのセンサー(嗅上皮)は鼻腔の天井にあります。鼻腔の粘膜全体に分布しているわけではないのです。 副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎がひどくなると、鼻腔の匂いの通り道が遮断されるため、嗅覚障害がおきます。  2.風邪やインフルエンザのウイルスがにおいの神経を直接痛めてしまい匂いが弱くなることは多くみられます。風邪をひいた直後よりも、風邪がしっかり治った1-2ヶ月経ってそういえば匂いがないなと自覚することが意外と多いようです。 3.亜鉛不足。食事から摂る亜鉛不足が続くことも、嗅覚の低下の原因になります。 4.匂いの機能の低下は、パーキンソン病や認知症の初期症状の可能性があることは、最近マスコミで良く取り上げられるようになりましたので、テレビやネットなどでご存じの方も多いと思います。

・耳鼻咽喉科での検査にはどのようなものがありますか

まずは私たち耳鼻咽喉科専門医がしっかりお鼻の中の診察をします。レントゲン検査、必要であれば内視鏡検査で更に詳しく検査します。 日本独自の検査法にはアリナミン(ビタミンB1)を静脈注射して匂いの神経が元気か否かをテストする方法があります(アリナミンテスト)。これでしっかり反応があれば匂いの神経は元気ということになり、鼻の中で匂いの通り道を塞ぐ鼻炎副鼻腔炎などをしっかり治療すればよくなることがわかりますし、テストで反応がなければ神経が弱っていることが考えられるので、神経を元気づけるお薬の治療を始めます。 更に精査が必要である場合は、病院を受診していただきさらなる精密検査を受けていただきます。

・どのような治療をおこないますか

鼻の病気が認められたときは、まずは原因となる病気をしっかり治します。内服薬や点鼻薬を継続することもありますし、鼻腔の粘膜を焼灼する小手術、もしくは病院での手術を受けていただくこともあります。風邪のウイルスなどによる嗅細胞の障害の場合はビタミン剤、漢方薬、必要なときはステロイド剤などを内服していただきながら、細胞の再生を目指します。亜鉛不足が原因の場合には、亜鉛を含むお薬を続けてもらいます。 また食生活にも亜鉛を多く含む食事を摂ってもらうようアドバイスさせていただきます。

・さいごに

「匂う」という感覚は、日々の仕事で調理場に立つ方や工場などで有機溶剤などを取り扱う方々などでないかぎり、日常生活では「見る」「聴く」などの感覚に比べて直接深く関わりにくいため、低下していても症状に気づきにくいものです。 また嗅覚は時間とともに感覚が鈍る性質があります。 帰宅直後に気になった、部屋のちょっとした異臭やペットの臭いも入ってしばらくすると紛れてしまい分からなってしまうものです。 しかし油断しないでください。そもそも人間の末端の感覚神経はそれほど再生能力は強くはありません。目が見えにくくなったときに「そのうちに見えるようになるだろう」とは思いませんよね。 どうも匂いが弱いなと感じたら「そのうちによくなるだろう」とは考えず思い立ったら早めの診察を心がけてください。  日々の生活の中ではいつも意識して食事や草花など、身の回りのにおいを「何のにおい香りか意識しながら」嗅ぐ習慣を持ちましょう。 食事のときには「これはリンゴが入ったカレーだな」「みそ汁の赤味噌のおいしい香り」を思いながら香りをしっかり嗅いでいただくようにします。仕事の合間のひとときのコーヒーや紅茶のときもおいしい香りをしっかりと意識しながら美味しくいただくようにします。 このような習慣づけは嗅覚低下の予防になります。

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