今年は１月初旬があたたかかったこともあり、成人の日の連休の頃からすでにスギ花粉がチラチラと飛び始めました。福岡は2月初旬にスギ花粉の飛散が本格的に始まり、ヒノキ花粉はそれから3-4週間後に始まります。　花粉症の方は私たち耳鼻咽喉科医と一緒に治療に取り組みましょう。

福岡の今シーズンの飛散予想　前シーズンより多く、過去10年の平均より多い飛散予想です。

・当院での治療法

花粉症の治療の基本は、初期療法です。花粉飛散予測日または症状が少しでも現れた日から早めに薬を使いはじめ、飛散終了まで続けます。　花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすく、そのシーズンの症状を軽くすることができます。
有効な漢方薬も準備しています。
花粉症はそれぞれに症状や経過が異なりますし、薬の治療効果や眠さなどの副作用の症状も一人ひとりちがいます。十分なご相談の上でお薬を決めていきます。
飛散状況に見合った効果がきちんと得られているのか確認しながら、効果が弱いと感じられるときには我慢なさらずにお気軽にご相談ください。

・手術
高周波ラジオ波（サージトロン）を用いた鼻粘膜焼灼術があります。本格的な飛散開始前に受けておけば飛散時期の症状の緩和に役立ちます。

・抗IgE抗体オマリズマブによる治療
現在はスギ花粉症のみですが症状と血液検査で重症と診断された方には注射の治療(オマリズマブ(商品名)ゾレア)があります。ただ、事前の血液検査が必要で費用負担が大きい治療です。

・免疫療法について
花粉によるアレルギー反応をおこしにくくさせて完治を目指す治療法に免疫療法があります。
今までは皮下注射を長く続けていく皮下免疫療法のみでしたが、数年前から舌下免疫療法も保険診療で始まりこちらが主流の治療法となっています。
飛散シーズンのみでなく1年を通して毎日薬の舌下を続け、3～4年医療機関に通いつづけることで花粉症の完治を目指します。　当院でも多くの方が続けています。

・飛散シーズンの日頃の対策は
屋外ではマスクとメガネが有効です。新型コロナ感染対策もあり皆さん屋外でのマスク装用に気をつけておられますが、花粉症対策にもマスクはとても有効です。
メガネをかけることは目の症状の予防に役立ちます。花粉症対策専用のものがシーズン中には売られていますので検討してみてください。
衣類は、ウールなど毛羽だったものはさけてツルツルした素材のものをえらび、屋外から屋内に入るときはまず服や髪の毛、帽子についた花粉をしっかり払ってから家に入る習慣をつけましょう。
そしてしっかりうがいをして顔を洗い、鼻をかみましょう。

花粉飛散の多い日は窓を閉め換気は短時間にとどめましょう。　しかし、コロナ禍により屋内の換気が推奨され、環境の変化にとまどっておられる方も多いようです。　換気後は床の掃除をして、床に落ちた花粉を再び舞い上がらせないようにします。掃除は小まめにしましょう。特に窓際を念入りに清掃しましょう。空気洗浄機を使用することも有効です。
花粉飛散の多い日は洗濯物の外干しを避けましょう。